#再発・入院の予防 #症状の軽減 #生活の向上

社会生活技能訓練 (SST)

Social Skills Training: SST

社会生活技能訓練(SST)とは?

社会生活技能訓練(ソーシャルスキルトレーニング、SST)とは、人との上手な接し方や自分の気持ちの伝え方などの社会的なスキルを習得するためのトレーニングです。一般的には5~8人程度の少人数のグループで行われます。日常生活の中で起こりそうな人と関わる場面を想定し、指導者がお手本を見せたり、参加者が相手役に対して実際に練習してみたりすることで、対人関係で生じる困難を減らすことを目指します。他にも、疾患や薬について学び、適切に症状に対処したり薬を飲んだりできるようになるための心理教育プログラムが一緒に行われることがあります。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症に対するソーシャルスキルプログラム

基礎情報

対象者 重度精神疾患を持つ人
組み入れ研究数 13件
研究参加人数 合計975人
最終検索日 2011年12月
効果の調べ方 SSTを行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較、またはSSTとグループディスカッションを比較

SSTは何に効果があるか?

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アウトカム/関心ごと 効果
SST VS. 通常の支援
社会的機能 改善
再発 減少
再入院 減少
精神症状 改善
全体的な状態 改善
生活の質(QOL) 改善
SST VS. グループディスカッション
社会的機能 同程度
再発 同程度
精神症状 同程度
生活の質(QOL) 同程度

この表は、SSTを行った場合と行わなかった場合を比べたとき、あるいはSSTとグループディスカッションを比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

SSTを行うと、重度精神疾患を持つ人の社会的なスキルが向上し、再発率が低下する可能性が示されました。また、精神症状、全体的な状態、生活の質も改善する可能性が示されました。
しかし、グループディスカッションと比較すると、効果に違いはありませんでした。

この場合のグループディスカッションとは、SSTとして定められた手順や方法に特に従わず、グループで集まって話し合ったり同じ活動(エクササイズなど)を行ったりすることを指しています。
全体的な状態とは、症状の重さや支援による回復度合いなどを総合的に判断した指標です。

留意点

データの質が非常に低かったため、現時点では確実なエビデンス(科学的根拠)があるとは言えません。また、組み入れられた研究のほとんどは中国で実施されていました。ソーシャルスキルトレーニングがどんな国や地域でも効果を発揮するかどうかはまだ分かっておらず、より大規模な試験で検証されることが望まれています。

[引用]
Almerie MQ, Okba Al Marhi M, Jawoosh M, Alsabbagh M, Matar HE, Maayan N, Bergman H. Social skills programmes for schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 6. Art. No.: CD009006. DOI: 10.1002/14651858.CD009006.pub2.
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