#症状の軽減 #生活の向上 #治療の継続

アバター療法

アバター療法とは?

アバター療法とは、心理的苦痛をもたらす幻聴を減らし、苦痛を少なくするための方法です。特に薬物療法が効かず、長期にわたって幻聴に苦しむ人々に向けて開発されました。セッションではコンピュータプログラムを使い、幻聴の声と一致するような人物をアバターとして視覚化します。治療提供者は離れた部屋から、モニタに表示されたアバターを通して患者に語り掛け、幻聴を再現します。そして患者がそれに対抗して言い返すように促します(「あなたの言うことは聞かない、放っておいて」など)。セッションの進行にともない、治療提供者はアバターが徐々に攻撃的な発言をやめ、患者の言うことを受け入れるように変化させます。このようにして、患者は実際の幻聴に対処できるようになると期待されています。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症や関連疾患を持つ人のためのアバター療法

基礎情報

対象者 統合失調症や関連疾患を持つ人
組み入れ研究数 3件
研究参加人数 合計195人
最終検索日 2019年4月
効果の調べ方
  1. アバター療法を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較
  2. アバター療法を行った場合と、支持的カウンセリングを行った場合を比較

アバター療法は何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
アバター療法 VS. 通常の支援
幻聴へのとらわれ度 改善
生活の質 向上
有害事象としての不安症状 同程度
陽性症状 同程度
再入院 同程度
研究からの離脱 同程度
機能 不明
アバター療法 VS. 支持的カウンセリング
幻聴へのとらわれ度 改善
精神症状 改善
生活の質 同程度
研究からの離脱 同程度
再入院 不明
有害事象としての不安症状 不明
機能 不明

この表は、1. アバター療法を行った場合と行わなかった場合を比べたとき、および2. アバター療法と支持的カウンセリングを比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

アバター療法を行うと、幻聴へのとらわれ度が改善することが示されました。また、通常の支援と比べると生活の質が向上すること、支持的カウンセリングと比べると精神症状が改善することも示されました。
通常の支援との比較では、アバター療法を行っても、不安症状が悪化しないことが示されました。
再入院、研究からの離脱、機能については、特に違いがないか、不明でした。

研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
幻聴へのとらわれ度とは、幻聴に従ってしまう程度など、その人の幻聴への態度・信念を測ったものです(コクランレビューではinsightと表記されています)。
機能とは、全般的機能(社会で生活していくための総合的な能力)や認知機能などを指します。

留意点

組み入れられた研究の質は低く、効果があるか否かは不確かで、あると示された場合も小さな効果しか認められませんでした。より大規模で長期にわたる試験が望まれています。

[引用]
Aali G, Kariotis T, Shokraneh F. Avatar Therapy for people with schizophrenia or related disorders. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 5. Art. No.: CD011898. DOI: 10.1002/14651858.CD011898.pub2.
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