#治療の継続 #当事者中心の支援の促進
共同意思決定
Shared decision making: SDM

共同意思決定とは?
共同意思決定とは、医師などの専門家と精神疾患の当事者が、治療のゴールや希望、治療における互いの役割について話し合い、共に適切な治療を見つけ出すことです。当事者に薬や治療の選択肢について説明し、希望を聴き取るために、書き込み式の冊子やアプリなどのツールを用いることもあります。近年の精神科治療においては、専門家と当事者のパートナーシップが大切にされており、共同意思決定はそれを促進すると考えられています。また、当事者には治療について自分で決める権利(自己決定権)があることからも、共同意思決定を行うことが推奨されています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) メンタルヘルスの問題を持つ人々のための共同意思決定
基礎情報
対象者 | メンタルヘルスの問題を持つ人 |
---|---|
組み入れ研究数 | 2件 |
研究参加人数 | 合計518人 |
最終検索日 | 2008年11月 |
効果の調べ方 | 共同意思決定を助ける介入を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較 |
共同意思決定を助ける介入は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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共同意思決定を助ける介入 VS. 通常の支援 | |
患者満足度 | 向上 |
医師による患者の意思決定参加を促進する行い | 増加 |
診察時間 | 同程度 |
臨床的アウトカム | 同程度 |
再入院率 | 同程度 |
治療コンプライアンス | 同程度 |
有害事象 | 不明 |
この表は、共同意思決定を助ける介入を行った場合と行わなかった場合を比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
共同意思決定を助ける介入を行うと、患者満足度が向上することが示されました。また、医師が患者に意思決定に参加するよう働きかける言動が増え、一方で診察時間を延長することはありませんでした。
しかし、症状の改善度などを示す臨床的アウトカム、再入院率、治療コンプライアンスには効果がありませんでした。有害事象については報告がありませんでした。
ここでいう共同意思決定を助ける介入とは、治療についての情報提供と希望の聴き取りのためにツールを用いることや、患者に話し合いへの参加を促すよう専門家をトレーニングすることを指しています。
治療コンプライアンスとは、患者が予定に従って治療を受けているかどうかの指標です。
留意点
この2研究だけで共同意思決定の効果について結論を出すことはできず、さらなる研究が必要とされています。
- [引用]
- Duncan E, Best C, Hagen S. Shared decision making interventions for people with mental health conditions. Cochrane Database of Systematic Reviews 2010, Issue 1. Art. No.: CD007297. DOI: 10.1002/14651858.CD007297.pub2.
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