#身体の健康

ビデオゲーム

Video games

ビデオゲームを用いた治療やリハビリとは?

ビデオゲームは、非常に人気のあるレクリエーション活動です。ビデオゲームの悪影響についての懸念は根強く残っていますが、ビデオゲームは統合失調症を持つ人がよく経験する集中力の欠如や記憶力の低下などの認知機能障害を改善するかもしれないと考えられています。もし効果があれば、標準治療に加えて行われる、シンプルで比較的安価な追加治療となるかもしれません。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症のためのビデオゲーム

基礎情報

対象者 統合失調症を持つ人
組み入れ研究数 7件
研究参加人数 合計468人
最終検索日 2019年8月
効果の調べ方
  1. 身体の動きを伴わないビデオゲームを行なった場合と認知矯正療法を行なった場合を比較
  2. 身体の動きを伴うビデオゲームを行なった場合と行わなかった場合(通常の支援)を比較
  3. 身体の動きを伴うビデオゲームを行なった場合と身体の動きを伴わないビデオゲームを行なった場合を比較

ビデオゲームは何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
1. 身体の動きを伴わないビデオゲーム VS. 認知矯正療法
全般的機能 同程度
社会的機能 同程度
精神症状 同程度
生活の質 同程度
認知機能 低い
2. 身体の動きを伴うビデオゲーム VS. 通常の支援
体力1 向上
認知機能 同程度
3. 身体の動きを伴うビデオゲーム VS. 身体の動きを伴わないビデオゲーム
体力2 同程度

この表は、身体の動きを伴わないビデオゲームと身体の動きを伴うビデオゲームについて、さまざまな条件で比較した時、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

身体の動きを伴わないビデオゲームは、認知機能の改善には認知矯正療法ほど有益ではない可能性が示されました。
身体の動きを伴うビデオゲームは、通常の支援と比較して、体力向上への効果が大きい可能性があることがわかりました。
そのほかの比較では、明確な効果の違いは示されませんでした。

全てのビデオゲームは通常の支援に加えて行われました。
これらの研究における、身体の動きを伴わないビデオゲームとは、市販のパズルゲーム、ミステリーゲームなどを、1日1時間、合計40時間行うことなどでした。身体の動きを伴うビデオゲームとは、有酸素運動、ボウリング、野球、スキーなどを体験できるゲームを、週に数回、数週間にわたって行うことなどでした。
認知矯正療法(認知機能リハビリテーション)とは、記憶力や集中力、問題解決能力などの脳機能の改善や、自分の行動パターンの理解を目的とした介入法です。患者はドリルや簡単なコンピュータゲームなどの様々な課題に取り組みます。
全般的機能とは、社会で生活していくための能力が総合的に見てどの程度備わっているかの指標です。
体力1は、有酸素フィットネス(ジョギング、ボート、水泳、サイクリングなど)を行った時の最大酸素摂取量で測定されました。
体力2は、3メートルを歩くのにかかる平均時間で測定されました。

留意点

組み入れられた研究はいずれもエビデンスの質が低く、より質の高いエビデンスが得られるまでは、ビデオゲームの効果について確固たる結論を出すことはできません。

[引用]
Roberts MT, Lloyd J, Välimäki M, Ho GWK, Freemantle M, Békefi AZ. Video games for people with schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2021, Issue 2. Art. No.: CD012844. DOI: 10.1002/14651858.CD012844.pub2.
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