行動療法

行動療法とは?

行動療法とは、心理療法の一種で、学習理論に基づいて支援を受ける人の行動の変容を促す技法です。行動した時の気持ちや結果の振り返りに基づいて、より良い行動を起こすように計画を立てて実行する方法や、実際の生活で困難を感じる行動(友人と話すなど)をまずは支援者と練習する方法などがあります。不安症状に対しては、少しずつ不安の対象に接触し、大丈夫だったという経験を繰り返すことで不安に慣れ、日常生活での困り感を減らしていく方法(暴露療法)もあります。現在では、認知行動療法 と呼ばれる技法が広く知られていますが、行動療法は認知行動療法の元となった支援体系の1つです。行動療法は個別の面接で行われることも、グループで行われることもあります。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 鬱病に対する行動療法と他の心理療法

基礎情報

対象者 急性うつ病を持つ成人
組み入れ研究数 25件
研究参加人数 合計955人
最終検索日 2013年7月31日
効果の調べ方 1. 行動療法と、他の心理療法(認知行動療法、第3世代認知行動療法、力動的精神療法、人間性心理学に基づくセラピーなど)を比較
2. 行動療法と、認知行動療法を比較
3. 行動療法と、力動的精神療法を比較

行動療法は何に効果があるか?

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アウトカム/関心ごと 効果
行動療法 VS. 他の心理療法
抑うつ症状が改善した人の割合 同程度
治療からの離脱 同程度
行動療法 VS. 認知行動療法
抑うつ症状が改善した人の割合 同程度
行動療法 VS. 力動的精神療法
抑うつ症状が改善した人の割合 同程度

この表は、行動療法を他の心理療法、あるいは認知行動療法、力動的精神療法と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

いずれの比較においても、抑うつ症状の改善や治療からの離脱に差はありませんでした。行動療法は、他の心理療法より効果的でも有害でもないという結果が得られました。

このレビューにおける行動療法には、楽しみを感じる行動を増やそうとする行動療法・行動活性化と呼ばれる技法や、上手なコミュニケーションを習得しようとする社会生活技能訓練(SST)、ストレスによる緊張をほぐそうとするリラクゼーション療法などが含まれました。
比較された心理療法には、認知行動療法、第3世代認知行動療法、力動的精神療法、人間性心理学に基づくセラピー、異なる心理療法の要素を組み合わせたその他の介入などが含まれました。
治療からの離脱とは、予定された治療期間が終わる前に、参加者がその治療への参加を取りやめることです。

留意点

エビデンスの質は低いか中程度で、結果は正確でない可能性があります。このレビューの結論を確かめるためには、より参加者の多い、より改善されたデザインの研究とその報告が必要です。

[引用]
Shinohara K, Honyashiki M, Imai H, Hunot V, Caldwell DM, Davies P, Moore THM, Furukawa TA, Churchill R. Behavioural therapies versus other psychological therapies for depression. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 10. Art. No.: CD008696. DOI: 10.1002/14651858.CD008696.pub2.
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