問題解決療法
問題解決療法とは?
問題解決療法は短時間で集中的に行われる心理療法の1つです。当事者と支援者が協働して(1) 症状と問題の関連付け、(2) 問題の定義付け、(3) 達成可能な目標の設定、(4) 望ましい解決策の産出と選択、(5) 望ましい解決策の実行、(6) 解決策の結果の評価、に取り組みます。通常は4〜6セッション実施します。
問題解決療法はさまざまな疾患をもつ人にとって役立つ心理療法です。例えば、統合失調症を持つ人は日常生活で生じる問題を解決することが難しい場合があり、これが引き金になってストレス反応が生じ、結果的に症状の悪化や生活の質の低下を招く可能性があることが指摘されています。統合失調症を持つ人が問題解決療法を受けることによって、こうした悪循環の発生を防ぎ、病気の再発や症状悪化のリスクを下げられると考えられています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症のための問題解決スキル
基礎情報
対象者 | 統合失調症を持つ人 |
---|---|
組み入れ研究数 | 3件 |
研究参加人数 | 合計52人 |
最終検索日 | 2006年9月 |
効果の調べ方 | 1.問題解決療法を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較 2.問題解決療法と対処スキル訓練を比較 3.問題解決療法と特定の技法に依拠しないやり取りを比較 |
問題解決療法は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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1.問題解決療法VS. 通常の支援 | |
精神症状 | 同程度 |
攻撃的行動 | 同程度 |
隔離の回数 | 同程度 |
ソーシャルスキル | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
2.問題解決療法VS. 対処スキル訓練 | |
出席回数 | 同程度 |
精神症状 | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
3.問題解決療法VS. 特定の技法に依拠しないやり取り | |
精神症状 | 同程度 |
攻撃的行動 | 同程度 |
隔離の回数 | 同程度 |
ソーシャルスキル | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
この表は、1.問題解決療法と通常の支援、2.問題解決療法と対処スキル訓練、3.問題解決療法と特定の技法に拠らないやり取り、をそれぞれ比較した場合に、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
問題解決療法と他の支援の間には、いずれも違いはありませんでした。
対処スキル訓練とは、妄想や幻覚、抑うつなどの病気の症状に対処できるようにすることを目的としたトレーニングを指します。
特定の技法に拠らないやり取りとは、非指示的なカウンセリングや支持療法、その他の会話を主体とした支援法のことです。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
留意点
このレビューの結果からは、統合失調症を持つ人の薬物療法への追加治療として、問題解決療法について支持、あるいは中止を勧めることは、現時点ではできません。
- [引用]
- Xia J, Li C. Problem solving skills for schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2007, Issue 2. Art. No.: CD006365. DOI: 10.1002/14651858.CD006365.pub2.
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