支持療法
支持療法とは?
支持療法は、精神疾患を持つ人のほとんどに対して行われる支援であり、精神保健サービスで最も実践されている方法の一つと言えます。具体的には、専門家が当事者の話を聞き、共感を示して励まし、現在持っている能力を伸ばすような関わりを指すことが多いです。しかし、あまりにも基本的で当たり前に行われている方法であるために、行う期間や回数などが定まっていなかったり、地域による差が大きかったりして、支持療法のはっきりとした定義はありません。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症の支持療法
基礎情報
対象者 | 統合失調症を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 24件 |
研究参加人数 | 合計2126人 |
最終検索日 | 2012年11月 |
効果の調べ方 | 1. 支持療法を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較 2. 支持療法を行った場合と、その他の心理療法を行った場合を比較 |
支持療法は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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支持療法 VS. 通常の支援 | |
再発率 | 同程度 |
入院率 | 同程度 |
全般的機能 | 同程度 |
支持療法 VS. その他の心理療法 | |
入院率 | 改善度小 |
精神症状 | 改善度小 |
患者満足度 | 改善度小 |
再発率 | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
生活の質 | 同程度 |
この表は、支持療法を通常の支援、あるいはその他の心理療法と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
支持療法は通常の支援と比べて、再発率、入院率、全般的機能の改善について、効果に差はありませんでした。
その他の心理療法と比べると、支持療法は入院率、精神症状、治療満足度を改善させる度合が小さい(その他の心理療法の方が、より効果がある)ことが示されました。再発率、研究からの離脱、生活の質については、効果に差はありませんでした。
全般的機能とは、社会で生活していくための能力が総合的に見てどの程度備わっているかの指標です。 研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
留意点
支持療法と通常の支援の違いをはっきりと特定できる情報やデータがありませんでした。また、得られた知見はエビデンスの質が低い小規模な少数の研究に基づいています。今後、支持療法を主な治療と位置付けた大規模な研究を行うことが望まれています。
- [引用]
- Buckley LA, Maayan N, Soares-Weiser K, Adams CE. Supportive therapy for schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 4. Art. No.: CD004716. DOI: 10.1002/14651858.CD004716.pub4.
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