#再発・入院の予防 #症状の軽減 #生活の向上 #治療の継続 #家族の負担軽減
危機介入
危機介入とは?
危機介入とは、病状の悪化などの危機におちいっている時、専門職が当事者の自宅や生活する地域まで訪問して行う支援です。地域で生活することは、重度精神疾患を持つ人々にとって困難を伴うことがあります。これらの人々は周囲に家族や友人などいざというときに助けを求められるようなネットワークを持っていない場合があります。こうした中で生活上のストレスの影響で、心身の健康の危機的な悪化が起こることがあります。この問題を解決するために危機介入の支援は開発されました。日本ではまだ当たり前の支援ではありませんが、海外では地域生活支援を支える良い効果があることがわかっており、国内での普及が望まれています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患を持つ人々に対する危機介入
基礎情報
対象者 | 急性期状態を経験した重度精神疾患を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 8件 |
研究参加人数 | 1144人 |
最終検索日 | 2014年9月 |
効果の調べ方 | 危機介入モデルの支援を行った場合と行わなかった場合(通常の支援)を比較 |
危機介入モデルの支援は何に効果があるのか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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危機介入モデルの支援 VS 通常の支援 | |
再入院 | 減少 |
家族の負担 | 減少 |
精神症状 | 改善 |
全般的機能 | 改善 |
患者満足度 | 高い |
研究からの離脱 | 少ない |
家族の満足度 | 高い |
死亡率 | 同程度 |
生活の質 | 同程度 |
費用 | 不明 |
スタッフの満足度 | 不明 |
介護者の生活様式や収入の変化 | 不明 |
服薬アドヒアランス | 不明 |
再発 | 不明 |
この表は、危機介入モデルの支援を行った場合と、通常の支援を比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
危機介入モデルの支援は繰り返しの再入院を減少させ、通常の支援よりも利用者の精神状態や全般的機能を向上させる効果がありました。また利用者にとって受け入れやすく満足でき、家族や介護者の負担を減らしていました。死亡率や生活の質については、危機介入モデルの支援と通常の支援で違いはありませんでした。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
服薬アドヒアランスとは、医師の勧めに従って当事者が服薬しているかどうかの指標です。
留意点
このレビューでは、方法論に偏りのある小規模な研究のみが取りあげられており、注目した主なアウトカム根拠の質は中程度以下でした。このアプローチが広く実施される際には、より多くの評価研究が必要だと指摘されています。
- [引用]
- Murphy SM, Irving CB, Adams CE, WaqarM. Crisis intervention for people with severemental illnesses. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 12. Art. No.: CD001087. DOI: 10.1002/14651858.CD001087.pub5.