#再発・入院の予防 #治療の継続

コミュニティメンタルヘルスチーム

Community mental health team: CMHT

コミュニティメンタルヘルスチームとは?

コミュニティメンタルヘルスチームとは、コミュニティ(=地域)+メンタルヘルス(=精神保健)の名称のとおり、精神障害を持つ人が住み慣れた地域でその人らしい暮らしを送ることを支援するチームを指します。通常のチームメンバーは、精神科医、看護師、作業療法士、ソーシャルワーカー、心理士などの複数の専門スタッフで構成されています。サービス内容は、他の機関から紹介された精神障害を持つ人に適した支援方法を検討したり、治療やケアを提供したりします。また、他の機関のスタッフへの助言を行ったり、就労支援事業所と連携して就職の準備を支援したりすることもあります。このように、たとえ重い精神障害を持つ人であっても、できる限り(再)入院を防止しながら、地域に密着した専門的な支援の全般を行います。

日本では、コミュニティメンタルヘルスチームの一つの形として「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」が知られています。ただし、ACTは重い精神障害を持つ人々に限定しており、より集中的なサービスを提供する機能に限られています。日本においても、コミュニティメンタルヘルスチームによる支援のように、様々な精神障害や、症状や障害の程度が比較的軽い人々を含めた、より広範な人を対象とする支援サービスの普及が求められています。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患と人格障害を持つ人々に対するコミュニティメンタルヘルスチーム(CMHT)

基礎情報

対象者 重度精神疾患と人格障害を持つ人
組み入れ研究数 3件
研究参加人数 合計587人
最終検索日 2006年3月
効果の調べ方 コミュニティメンタルヘルスチームによる支援を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較

コミュニティメンタルヘルスチームによる支援は何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
コミュニティメンタルヘルスチームによる支援 VS 通常の支援
サービスに不満を感じた人の割合 少ない
入院率 低下
死亡率 同程度
研究からの離脱 同程度
他のサービスの利用(救急外来、かかりつけ医、障害福祉サービス) 同程度

この表は、コミュニティメンタルヘルスチームによる支援を通常の支援と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

コミュニティメンタルヘルスチームによる支援では、サービスに不満を感じた人の割合や入院率の低下に効果がありました。
自殺などで死亡した人の割合については、統計学的には明らかな違いはありませんでした。
また、研究からの離脱、他のサービスの利用(救急外来、かかりつけ医、障害福祉サービス)については、コミュニティメンタルヘルスチームによる支援と通常の支援の間に違いはありませんでした。

このレビューにおけるコミュニティメンタルヘルスチームによる支援は、以下の専門的な支援と区別され、支援を併用した研究はこのレビューに含まれませんでした。

  • 重度精神障害を持つ人の担当人数を限定した「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」
  • 精神疾患発症の初期段階にある人々に対する「早期介入」※早期介入のページはこちら
  • 病状の悪化や再発などの危機に直面している人々に対する24時間対応のサービスである「危機介入」※危機介入のページはこちら

研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。

留意点

コミュニティメンタルヘルスチームによる支援が有効かどうかを判断したり、他の専門的な支援と比較したりする際には、このレビューで組み込まれた研究が3件のみととても少ないことに注意する必要があります。

[引用]
Malone D, Marriott SVL, Newton-Howes G, Simmonds S, Tyrer P. Community mental health teams (CMHTs) for people with severe mental illnesses and disordered personality. Cochrane Database of Systematic Reviews 2007, Issue 3. Art. No.: CD000270. DOI: 10.1002/14651858.CD000270.pub2.
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