#再発・入院の予防 #生活の向上
コラボレーティブケア(協働的ケア)
コラボレーティブケア(協働的ケア)とは?
コラボレーティブケア(協働的ケア)は、過去の研究では「かかりつけ医による主に身体面での治療やケアと、精神科領域の専門的医療との間で緊密な協力関係を持ちながら行うケア」と記述されています。しかし現状では、支援者や専門家が合意している標準的な定義はまだありません。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 重症精神疾患をもつ人を対象としたコラボレーティブケアアプローチ
基礎情報
対象者 | 18歳以上で地域生活を送る重度精神疾患を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 1件 |
研究参加人数 | 合計306人 |
最終検索日 | 2011年4月 |
効果の調べ方 | コラボレーティブケアを行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較 |
コラボレーティブケアは何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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コラボレーティブケアVS. 通常の支援 | |
精神科への入院 | 減少 |
精神的健康に関する生活の質 | 向上 |
身体的健康に関する生活の質 | 同程度 |
費用 | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
自殺による死亡者数 | 同程度 |
自殺以外のすべての原因による死亡者数 | 同程度 |
この表は、コラボレーティブケアを通常の支援と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
コラボレーティブケアは精神科への入院の減少や精神的健康に関する生活の質に効果がありました。
身体的健康に関する生活の質、費用、研究からの離脱、自殺による死亡者数、自殺以外のすべての原因による死亡者数については、コラボレーティブケアと通常の支援の間に違いはありませんでした。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
留意点
このレビューで報告された研究は1件のみであり、対象者の属性も限られていました(米国の退役軍人で双極性障害I型もしくはⅡ型を持つ人のみ)。また情報の質は低いか非常に低いものでした。コラボレーティブケアが費用対効果、臨床的アウトカム、当事者の主観的な病状の改善に役立つ、という点で重度精神疾患を持つ人にとって良いものであるかどうか、さらに研究が必要です。
- [引用]
- Reilly S, Planner C, Gask L, Hann M, Knowles S, Druss B, Lester H. Collaborative care approaches for people with severe mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 11. Art. No.: CD009531. DOI: 10.1002/14651858.CD009531.pub2.
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