#再発・入院の予防 #治療の継続

インテンシブケースマネジメント

Intensive case management: ICM

インテンシブケースマネジメント(ICM)とは?

インテンシブケースマネジメント(ICM)とは、重度精神疾患を持つ人が地域でケアを受けながら暮らし続けられることを目的としたサービスです。そもそもケースマネジメントとは、利用者のニーズを聞き取り、どのような支援をいつ提供するかプランを組んで調整を行い、利用者の状態や支援の利用状況を継続して見守ることを指します。インテンシブとは集中的という意味で、通常のケースマネジメントよりもスタッフ1人が受け持つ利用者の数を少なくし、利用者が密にサービスを受け取れるようにしています。また、24時間体制で支援が提供されること、医師や看護師、精神保健福祉士などのさまざまな専門家が集まったチームが担当すること、病院以外(自宅など)で利用者と会うことも特徴です。ICMは、包括的地域生活支援(ACT)とケースマネジメント(CM)から発展しました。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患に対するインテンシブケースマネジメント

基礎情報

対象者 重度精神疾患を持つ18~65歳で地域ケアを受けている人
組み入れ研究数 40件
研究参加人数 合計7524人
最終検索日 2015年4月10日
効果の調べ方 1.ICMを行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較
2.ICM、スタッフの受け持ち利用者数が多いケースマネジメント(非ICM)を比較

ICMは何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
ICM VS. 通常の支援
研究からの離脱 減少
入院日数 減少
自殺 同程度
未就労(失業状態) 同程度
アウトカム/関心ごと 効果
ICM VS. 非ICM
研究からの離脱 減少
入院日数 同程度
入院回数 同程度
自殺 同程度
未就労(失業状態) 同程度

この表は、1. ICMを行った場合と、行わなかった場合を比べたとき、および2. ICMと、ICMよりもスタッフが受け持つ利用者の人数が多いケースマネジメント(非ICM)を比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

ICMを行うと、通常の支援と比べても、非ICMと比べても、研究からの離脱(途中で支援を受けなくなること)が少ないことが示されました。
また、通常の支援と比べて入院日数が少なくなることが示されました。しかし、非ICMと比べると差はありませんでした。 自殺や未就労(失業状態)については、ICMの効果は特に示されませんでした。

研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。

留意点

質の高い情報を得られなかった上に、研究が行われた国々の保健・福祉のシステムはかなり異なっていたため、はっきりと結論を出すことは困難です。

[引用]
Dieterich M, Irving CB, Bergman H, Khokhar MA, Park B, Marshall M. Intensive case management for severe mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017, Issue 1. Art. No.: CD007906. DOI: 10.1002/14651858.CD007906.pub3.
詳しくはこちら