#再発・入院の予防 #症状の軽減 #生活の向上 #治療の継続

心理教育

心理教育とは?

心理教育とは、1)精神障害の発症やHIV感染など簡単には受け入れづらい問題を持つ人たちに、心理面への十分な配慮をしながら正しい知識や情報を伝えること、2)病気や障害の結果生じる困りごとに対処する方法を修得してもらうこと、3)知識や対処方法を使って当事者が主体的な療養生活を送れるように支えること、を含む支援技法です。

医療機関や地域の支援機関が提供するさまざまなリハビリプログラムの入門編として活用されることがあります。また医療サービスの受け手である当事者は事前に説明を受ける権利がある、という消費者重視の理念にかなうこと、障害を持つ人だけでなく、その家族にとっても役立つ場合が多いことから積極的な実施が推奨されています。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症に対する心理教育

基礎情報

対象者 統合失調症および関連する重度精神疾患を持つ人
組み入れ研究数 44件
研究参加人数 合計5142人
最終検索日 2012年11月
効果の調べ方 心理教育を行った場合と、行わなかった場合(通常の支援)を比較

心理教育は何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
心理教育 VS. 通常の支援
コンプライアンス 改善
再発 減少
社会的機能/全般的機能 改善
サービス満足度 向上
生活の質 向上

この表は、心理教育を通常の支援と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

心理教育を行うと、コンプライアンスが向上し、再発が少なくなることが示されました。また、心理尺度で測定した社会的機能/全般的機能の得点が改善し、サービス満足度や生活の質が向上することも示されました。

コンプライアンスとは、医療者の助言に従って当事者が治療を受けているかどうかの指標です。

留意点

心理教育の効果を一層明確に示すために、より質の高い、広範囲に応用可能な研究が行われることが望まれます。

[引用]
Xia J, Merinder LB, Belgamwar MR. Psychoeducation for schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2011, Issue 6. Art. No.: CD002831. DOI: 10.1002/14651858.CD002831.pub2.
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世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患患者に対する心理教育(短期)

基礎情報

対象者 重度精神疾患を持つ人
組み入れ研究数 20件
研究参加人数 合計2337人
最終検索日 2013年9月
効果の調べ方 短期心理教育を行った場合と行わなかった場合(通常の支援)を比較
※このページでは短期心理教育と認知行動療法を比較した研究1件を除いた結果を紹介しています。

短期心理教育は何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
短期心理教育 VS. 通常の支援
服薬のノンコンプライアンス 減少
再発 減少
全般的機能 向上
社会的機能 向上
精神症状 改善
通院のコンプライアンス 同程度
生活の質 同程度
死亡率 同程度

この表は短期心理教育を通常の支援と比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

短期心理教育を行うことで、当事者が処方通りに服薬しない行動が減少し、再発も減少しました。また、全般的機能や社会的機能が向上し、精神症状が改善しました。
通院のコンプライアンスや生活の質、死亡率については効果に違いがありませんでした。

このレビューでは短期心理教育を10回以下の心理教育と定義しています。服薬のノンコンプライアンスとは、当事者が医師の処方通りに服薬しないことを示しています。
通院のコンプライアンスとは、当事者が予定通りに受診しているかどうかの指標です。

留意点

このページでは短期心理教育と認知行動療法を比較した研究1件を除いた結果を紹介しています。
このレビューの結論は質の低い少ない研究から得られたものであるため、より大規模で高品質の研究の実施が望まれます。

[引用]
Zhao S, Sampson S, Xia J, Jayaram MB. Psychoeducation (brief) for people with serious mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 4. Art. No.: CD010823. DOI: 10.1002/14651858.CD010823.pub2.
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