#再発・入院の予防
再発の注意サインへの対処

再発の注意サインとは?
統合失調症をもつ人は体調悪化の前にその人特有の「注意サイン」(再発の初期兆候)を持っているということが知られています。不眠が数日から数週間続くなかで、イライラ感が募ったり、周囲の人を疑う気持ちが高まったりし、こうした感情や思考が行動に現れるようになって、緊急に医療機関を受診する、また入院に至ることがあります。
国内では「注意サイン」への対処として、体調が安定している時期にあらかじめ周囲の人に相談できるような準備を行っておくこと、「注意サイン」を普段から記録しておくこと、また「注意サイン」について相談する方法をソーシャルスキルトレーニングを使って練習することが推奨されています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症の再発の初期兆候を認識するためのトレーニング
基礎情報
対象者 | 統合失調症またはその他の非感情性精神病を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 34件 |
研究参加人数 | 合計3554人 |
最終検索日 | 2007年7月、2012年3月 |
効果の調べ方 | 注意サインへの介入と通常治療を組み合わせた支援と通常治療のみ(通常の支援)を比較 |
注意サインへの介入は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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注意サインへの介入+通常治療 VS. 通常治療 | |
再発率 | 減少 |
再入院のリスク | 減少 |
再発までの時間 | 同程度 |
再入院までの時間 | 同程度 |
ケアへの満足度 | 不明 |
費用の満足度 | 不明 |
この表は注意サインへの介入と通常治療を組み合わせた支援と通常治療のみの支援を比較した場合に、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
注意サインのトレーニングは再発率および再入院率を減らす点で有益であることがわかりました。ただし再発や再入院までの時間には影響しないこともわかりました。
留意点
注意サインのトレーニングは他の心理的なセラピーと併用されることが多く、好ましい効果のうちどのくらいの割合が注意サインのトレーニングによるものかは、完全に明らかになっていないことに注意する必要があります。
注意サインのトレーニングが単独でも効果的かどうかを判断するには、さらなる研究が必要です。生活の質、ケアに対する満足度、かかった費用、介護者のケアの負担に対する影響はまだ報告されていないので、トレーニングプログラムがより広く用いられる前にこれらが明らかにされることが理想的だと思われます。
- [引用]
- Morriss_R, Vinjamuri_I, Faizal_MA, Bolton_CA, McCarthy_JP. Training to recognise the early signs of recurrence in schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 2. Art. No.: CD005147. DOI: 10.1002/14651858.CD005147.pub2.
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