#症状の軽減 #治療の継続
カップルセラピー
カップルセラピーとは?
カップルセラピーとは、2人のどちらかが抑うつ症状を抱えている夫婦やカップルに対して行われる一種の心理療法です。セラピストが主導するセッションに両パートナーが参加します。セラピーでは主に2人の関係に注目し、コミュニケーションの悪いパターンを改め、親密な関係による支え合いの力を促進することを目的に行われます。うつ病は人間関係と密接に関連することが知られており、特に夫婦やカップル間の葛藤とうつ病は、互いに影響し合って悪循環を生み出す可能性があるとされています。そのような場合、個別の治療よりも夫婦・カップルでの治療が効果的であると期待されています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) うつ病に対するカップルセラピー
基礎情報
対象者 | うつ病を持ち、パートナーがいる人 |
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組み入れ研究数 | 14件 |
研究参加人数 | 合計651人 |
最終検索日 | 2018年2月19日 |
効果の調べ方 | 1. カップルセラピーと、個別心理療法を比較 2. カップルセラピーと、薬物療法を比較 3. カップルセラピー+薬物療法と、薬物療法のみを比較 4. カップルセラピーと、無治療/最小限の治療との比較 |
カップルセラピーは何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
---|---|
1. カップルセラピー VS. 個別心理療法 | |
カップル関係の心理的苦痛 | 減少 |
カップル関係の心理的苦痛が改善しなかった人の割合 | 減少 |
抑うつ症状 | 同程度 |
抑うつ状態が改善しなかった人の割合 | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
2. カップルセラピー VS. 薬物療法 | |
研究からの離脱 | 減少 |
抑うつ症状 | 同程度 |
3. カップルセラピー+薬物療法 VS. 薬物療法のみ | |
抑うつ症状 | 同程度 |
研究からの離脱 | 同程度 |
4. カップルセラピー VS. 無治療/最小限の治療 | |
抑うつ症状 | 減少 |
抑うつ状態が改善しなかった人の割合 | 減少 |
この表は、カップルセラピーを他の治療と様々な条件で比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
カップルセラピーは抑うつ症状の改善において、個別の心理療法や薬物療法と同程度の効果があることが示されました。
カップル関係の悩みの解消においては、カップルセラピーの方が個別心理療法より有効であることが示されました。
参加者の脱落について、カップルセラピーの方が薬物療法よりも脱落が少ない可能性が示されました。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。
カップル関係の心理的苦痛や抑うつ症状というアウトカムでは、専用の尺度を用いて測られた点数が増減したかを見て、効果を検証しています。一方、カップル関係の心理的苦痛が改善しなかった人の割合・抑うつ状態が改善しなかった人の割合というアウトカムでは、治療を行ってもそれらの点数があまり変わらなかった人の数を、明らかな良い変化があった人の数と比べて効果を検証しています。
留意点
研究の数や質が十分ではないため、カップルセラピーと他の治療法との違いに関して、明確な結論を出すことは困難です。特に無治療/最低限の治療や薬物療法との比較においては、わずかなデータしか得られませんでした。質の良い、より大規模で長期的な研究を行い、カップルセラピーの効果をさらに検証することが望まれています。
- [引用]
- Barbato A, D’Avanzo B, Parabiaghi A. Couple therapy for depression. Cochrane Database of Systematic Reviews 2018, Issue 6. Art. No.: CD004188. DOI: 10.1002/14651858.CD004188.pub3.
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