#症状の軽減 #生活の向上 #治療の継続
情報通信技術(ICT)を活用した治療継続支援
Information and communication technology: ICT
情報通信技術(ICT)を活用した治療継続支援
情報通信技術(ICT)を活用した治療継続支援とは、携帯電話やスマートフォンなどにメールを送信したり電話をかけたりすることによって、受診や服薬を促すことです。重度の精神疾患を持つ人にとって、通院や服薬を中断することが症状を悪化させる可能性があるため、ICTによる受診等の促しが健康を維持することに対し効果的であると考えられています。ICTのテクノロジーは急速に進歩しており、多くの人にとって便利で受け入れられやすいICTを活用した治療継続支援の普及が期待されています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患を持つ人々の治療コンプライアンス向上のためのICT(情報通信技術)を活用した促し
基礎情報
対象者 | 重度精神疾患を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 2件 |
研究参加人数 | 合計358人 |
最終検索日 | 2012年7月9日 |
効果の調べ方 | ICTを活用した治療継続支援と通常の支援を組み合わせた支援と、通常の支援を比較 |
ICTを活用した治療継続支援は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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ICTを活用した治療継続支援+通常の支援 VS. 通常の支援 | |
精神状態 | 改善 |
病識 | 向上 |
生活の質 | 向上 |
研究からの離脱 | 同程度 |
服薬コンプライアンス | 同程度 |
この表はICTを活用した治療継続支援と通常の支援を組み合わせた支援と通常の支援のみを比較した場合に、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
ICTを活用した治療継続支援は、精神状態や病識、生活の質に効果がありました。研究からの離脱と服薬コンプライアンスには、影響はありませんでした。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。今回、通常の支援にICTを追加しても、支援の受け入れられやすさが変わらなかったため、研究からの離脱はになっています。
服薬コンプライアンスとは、当事者が医師の処方通りに服薬しているかどうかの指標です。
留意点
組み入れられた研究が2件のみでデータが少なく、ICTによる治療継続支援を過大評価してしまう可能性があるため、その効果についてはまだ結論が出ていません。より質が高く、様々なICTの活用方法を考慮した研究の実施が望まれます。
- [引用]
- Kauppi K, Välimäki M, Hätönen HM, Kuosmanen LM, Warwick-Smith K, Adams CE. Information and communication technology based prompting for treatment compliance for people with serious mental illness. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jun 17;2014(6):CD009960. doi: 10.1002/14651858.CD009960.pub2.
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