#症状の軽減 #生活の向上 #治療の継続
情報通信技術 (ICT) を用いた患者教育
Information and communication technology:ICT
情報通信技術(ICT)を用いた患者教育とは?
情報通信技術(ICT)とは、電話、コンピュータ、スマートフォンなどをつかったコミュニケーション方法やそのために必要な技術のことを指します。近年、精神疾患を持つ人に治療や支援を届けるためにICTをより多く活用するようになっています。患者教育とは、病気や治療についての知識などを伝えることであり、その人の健康に関する意識を高める良い方法であることが分かっています。患者教育にICTを用いることで、当事者が支援を受けやすくなったり、費用が安くなったりする等、多くの面で改善が期待されています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症を持つ人々のための情報通信技術(ICT)を用いた患者教育と支援
基礎情報
対象者 | 統合失調症もしくは関連する精神病を持つ人 |
---|---|
組み入れ研究数 | 6件 |
研究参加人数 | 合計1063人 |
最終検索日 | 2010年9月 |
効果の調べ方 | ICTを用いた患者教育と支援を行った場合と行わなかった場合(通常の支援)を比較 |
ICTを用いた患者教育と支援は何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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1.ICTを用いた患者教育と支援のみ VS. 通常の支援 | |
精神症状(短期) | 改善 |
社会的サポート | 増加 |
全般的機能 | 同程度 |
2.ICTを用いた患者教育と支援+通常の支援 VS. 通常の支援 | |
服薬コンプライアンス | 改善 |
精神症状(短期) | 同程度 |
全般的機能 | 同程度 |
知識レベル | 同程度 |
この表は1.ICTを用いた患者教育と支援のみと通常の支援を比べたとき、2.ICTを用いた患者教育と支援を通常の支援に追加した場合としなかった場合を比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
1.の比較では、短期的には精神症状に改善がありました。また社会的サポートが増加しました。2.の比較では、服薬コンプライアンスに改善がありました。これ以外の効果指標については明確な効果はありませんでした
1.の比較では、通常の支援とは別の独自のICT活用を含む包括的な支援プログラムが実施されていました。
留意点
ICTを用いた患者教育と支援について、様々な方法と効果を見るための指標が検討されており、研究間の比較をすることが難しい状態でした。また研究の数も少なく、明確な結論を出すことができませんでした。しかし、ICTは患者教育や支援を提供する方法として有望な方法で、今後も活発な研究活動が望まれています。
- [引用]
- Välimäki M, Hätönen H, Lahti M, Kuosmanen L, Adams CE. Information and communication technology in patient education and support for people with schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2012, Issue 10. Art. No.: CD007198. DOI: 10.1002/14651858.CD007198.pub2.
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