コンプライアンスセラピー

コンプライアンスセラピーとは?

コンプライアンスセラピーの「コンプライアンス」とは、医療者の助言に従って当事者が治療を受けているかどうかの程度を示す用語です。コンプライアンスセラピーでは、当事者に自分の症状や障害の経過、服薬による副作用について振り返ってもらい、主に薬物療法のメリットとデメリットについて、スタッフとともに考えていきます。また、当事者の服薬に対する気持ちや当事者が望む生活に対する考えと、服薬をしない行動をとることの間に矛盾がある場合に、どのようにしたらより良く服薬と付き合えるかについて話し合うことで、当事者の服薬に対する動機づけ(モチベーション)を高めていくことを目指します。

「コンプライアンス」の言葉から、「服薬を守らせる」ことをイメージされがちですが、そのような一方的なセラピーではないことに注意が必要です。

コクランレビューについて

世界の研究について知る(コクランレビュー) 統合失調症に対するコンプライアンスセラピー

基礎情報

対象者 統合失調症または重度精神障害を持つ人
組み入れ研究数 1件
研究参加人数 合計56人
最終検索日 2005年6月
効果の調べ方 コンプライアンスセラピーと、一般的なカウンセリングを比較

コンプライアンスセラピーは何に効果があるか?

表の見方はこちら

アウトカム/関心ごと 効果
コンプライアンスセラピー VS. 一般的なカウンセリング
治療ノンコンプライアンス 同程度
治療に対する態度 同程度
研究からの離脱 同程度
病識 同程度
全体的機能 同程度
生活の質 同程度
平均入院日数 同程度

この表は、コンプライアンスセラピーを一般的なカウンセリングと比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。

治療ノンコンプライアンス、治療に対する態度、研究からの離脱、病識、全体的機能、生活の質、平均入院日数について、コンプライアンスセラピーと一般的なカウンセリングの間に違いはありませんでした。

組み入れられた研究では、コンプライアンスセラピー、一般的なカウンセリングともに、5回(1回に30〜60分)実施されました。
治療ノンコンプライアンスとは、当事者が予定に従って治療を受けないことを示しています。
研究からの離脱とは、予定された研究期間が終わる前に、参加者がその研究への参加を取りやめることです。

留意点

このレビューに組み入れられた研究は1件のみで、コンプライアンスセラピーの有効性について結論を出すためには、さらなる研究の実施が必要です。

[引用]
McIntosh A, Conlon L, Lawrie S, Stanfield AC. Compliance therapy for schizophrenia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2006, Issue 3. Art. No.: CD003442. DOI: 10.1002/14651858.CD003442.pub2.
詳しくはこちら