バーチャルリアリティ(VR)を用いた治療継続支援
Virtual reality: VR
バーチャルリアリティ(VR)を用いた治療継続支援とは?
バーチャルリアリティ(VR)とは、動画や音などの感覚的な刺激を用いて双方向のやりとりが可能なコンピュータの世界を作り出す技術です。VRは診察や相談場面を模した臨場感のある環境を作ることが可能です。こうした技術を使うことで、重度精神疾患を持つ人々が医師等に対して、治療に対する希望を伝える練習をすることができ、納得した上での服薬を支援できるかもしれないと考えられています。
世界の研究について知る(コクランレビュー) 重度精神疾患を持つ人の治療コンプライアンスのためのバーチャルリアリティ
基礎情報
対象者 | 重度精神疾患を持つ人 |
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組み入れ研究数 | 3件 |
研究参加人数 | 合計156人 |
最終検索日 | 2013年9月17日 |
効果の調べ方 | VRを用いたスキルトレーニングと標準治療の組み合わせと標準治療のみの支援を比較 |
VRを用いたスキルトレーニングは何に効果があるか?
アウトカム/関心ごと | 効果 |
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VRを用いたスキルトレーニング+標準治療VS. 標準治療のみ | |
コンプライアンス | 同程度 |
認知機能 | 同程度 |
ソーシャルスキル | 同程度 |
治療を受け入れる度合い | 同程度 |
この表は、VRを用いたスキルトレーニングと標準治療の組み合わせと標準治療のみの支援とを比べたとき、どの程度効果に違いがあるかを示しています。
VRを用いたスキルトレーニングと標準治療の組み合わせと標準治療のみの支援との間に違いはありませんでした。
スキルトレーニングとは、望ましい食生活の維持や金銭管理に必要なリビングスキル、対人場面でのふるまいを指すソーシャルスキルなど、地域生活に必要な技能(ライフスキル)を練習するための支援の総称です。このレビューでは特に、医師等との診察や相談場面でのソーシャルスキルのトレーニングについて効果が検討されています。
コンプライアンスとは、医療者の助言に従って当事者が治療を受けているかどうかの指標です。
留意点
現在のところ、精神疾患を持つ人の服薬を促すためにVRを利用することに対する明確なエビデンス(科学的根拠)は存在しませんでした。精神疾患を持つ人に対するVRの効果について、良質な情報をより多く集める必要があり、質の高い研究を行う必要があります。
- [引用]
- Välimäki M, Hätönen HM, Lahti ME, Kurki M, Hottinen A, Metsäranta K, Riihimäki T, Adams CE. Virtual reality for treatment compliance for people with serious mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews 2014, Issue 10. Art. No.: CD009928. DOI: 10.1002/14651858.CD009928.pub2.
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